2008年02月24日

(by paco)「成果主義」はすでにデファクト

Business Design

(by paco)ねもけんさんが成果主義について書いているので、ちょっと「返歌」を。

僕はここ数年、ある大手企業の人事制度改革のコンサルティングと社員向けのワークショップを実施してきていますが、そのコアにあるのは成果主義です。このプロジェクトを通じて理解した成果主義や目標管理についてのロジックや、社員の反応を見ていてわかったことを少し書いてみます。

もっともベーシックな理解としては、「年功序列」を廃して「目標管理と成果報酬」に切り替えることは、基本的にホワイトカラー的な仕事をする会社員にとっては必然で、すでにデファクトであり、「どちらを支持するか?」という選択の余地は(おそらく)ほとんど無い、ということです。

「目標管理と成果報酬」という考え方と、実は似ているもののちょっと違うのは、「ジョブディスクリプションとそれに対応する報酬」というアプローチがあり、このふたつは共存することになると思います。簡単に言えば、前者の「目標管理と成果報酬」は、社員の側があらかじめ「これとこれを、このような方法で実現します」と宣言し、それを実現できた場合を想定した報酬を受け取るというもので、報酬額は実現できた場合の、たとえば半額程度になり、残金は翌期に、前期の実績評価をもとにし払われる、というようなイメージです。つまり、現在の報酬は、前期の「目標とそれに対する到達度」に対する報酬と、「今期、底上げされた目標に対する期待値」の合計になるという考え方です。これが日本の一般的な成果報酬の考え方でしょう。

もうひとつの、「ジョブディスクリプションとそれに対応する報酬」は、むしろ企業側が業務を定義し、それを実行できると判断した人物を採用して、それに見合うように設定した報酬をあらかじめ決めて支払うという年俸制に近い考え方です。この方法は事務職や比較的ルーティンワークの仕事に適用され、報酬が増減する場合は、会社全体の利益が予想より増減した場合に、その一部がボーナスに連動するという考え方になると思います。

一般的には、事務職以外のホワイトカラーは「目標管理と成果報酬」が適用されることが多くなりますが、その理由は、以前と比べて仕事の結果が読みにくくなり、トライ&エラーによって結果を補正する能力が求められるからで、目標に対してまっすぐに進んだことを評価できるなら、むしろ「ジョブディスクリプションとそれに対応する報酬」の制度がふさわしく、未知の領域が大きいほど、「目標管理と成果報酬」がてきしていることになるでしょう。たとえば同じ営業職でもルートセールスで販売員に近い場合は「ジョブディスクリプションとそれに対応する報酬」、コンサルティングセールスや新規営業の場合は「目標管理と成果報酬」が適しています。

さて、このような成果に対応した報酬がデファクトになる理由として、次のような3つがあげられます。

ひとつは、雇用の流動化との整合性。以前のように新卒採用→定年まで生え抜きの社員が大半で運用できる会社なら、年功序列でもある程度運用可能ですが、雇用が流動化して、中途採用が増える(増やさざるを得ない)と、年齢と、その会社で果たせる役割の相関関係が薄くなります。結局、どのような目標を立てられる人かが報酬判断の基準になり、生え抜き社員の側にも成果主義を適用しておかないと、整合性がとれなくなります。

ふたつ目が、社員の意識の多様化。いわゆる出世、課長、部長と昇進していくルートを望まない社員が一定の割合出てきているのが現実で、こういう人は年齢は上がっても、仕事は入社5年目と変らないということが普通にあります。それでも会社には一定の貢献を果たしているので、仕事をしてもらおうとすると、年功制は機能しません。

三つ目は、マネジメントに求められる業務が高度化して、年齢と比例しなくなったことでしょう。年功は、年齢が高くなるほど、高度な仕事ができるという前提に立っていますが、今のビジネスは管理するリソースが増え、判断が難しくなっているので、年齢が上の人ほど管理能力が高いとは言えません。結局、タイトル(役職)と年齢の逆転が起こり、年上の部下を抱えるのが普通になってくると、やはり年功制は機能しません。この3つめは、2つめとイコールのようですが、実はけっこう異質で、2つめは「マネジメントの能力があるのになりたがらない社員」を含んでいて、3つめは「マネジャーになりたいのに上がれない社員」を含んでいます。両者を含みながら、マネジャーになる若い人材をも適切に処遇していくためには、「目標管理と成果報酬」をとるしかないのです。

もちろんだからと行って、このやり方がうまく機能するとは限りません。ねもけんさんが指摘しているような問題が起こるのも事実です。考え方としては、問題が出るのを承知で、このしくみをどう使っていくか、その使いこなしができる企業だけが、「よい企業」として生き残れる、と言うことだと思います。

もちろん社員にとっても、このしくみは悪い面ばかりではないのですが、それについてはまた改めて書いてみようと思います。

ねもけんさん、こういう意見についてはどう思いますか?

投稿者 paco 17:41 | コメント (0) | トラックバック (0)

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