2008年08月03日

(by paco)「闇の子供たち」映画化

Global Eyes

(by paco)梁石日(やん・そぎる)の小説「闇の子供たち」が映画化され、先週末から公開中です。

この小説は、タイを舞台に、児童人身売買や売買春、そして臓器売買と、非人道的、非人間的な現実が行われていることを描いた「問題作」で、初版が出たのが2002年。あまりにヘビーな内容なので、あまり表だってメディアに取り上げられることもなく、こういう問題は日本人は見て見ぬふりをするのだよなと思っていたのですが、ななんと、映画化され一般劇場で公開されるというのでびっくり。しかも、原作の内容を映像的にかなり忠実に再現した上に、監督自身の脚本によって、「茫然自失の結末」が用意されるということで、見る前からすさまじい映画になっているようです。

原作の小説自体、僕は一気に読み切ってしまったのですが、だめなひとは絶対だめ、という感じのハードな表現が繰り返されます。8歳の少女を貧しい農家から買い取り、買い取った直後に一回の男が少女にたばこの火を押しつけて黙らせ、ひどい目にあいたくなかったらいうことを聞くんだ、とすごむシーンから始まり、胸もふくらまない少女に強引に性行為を行い、「おまえたちは明日からこういう仕事をするんだ」と見せつけるシーン、同性の児童専門の性癖を持つ欧米の男が男子に薬物を注射して性行為を強要し、薬物中毒でけいれんしながら死んでしまうシーン、子供を「養子にする」と買い取り、連れて帰り、夫婦で子供を性具にするシーン。

本を閉じ、先を読みたくないストーリーの連続なんですが、「おまえはこの現実から目を背けるのか」と読み手に迫ってくるすさまじく鋭利な筆致に引き込まれてしまう、そんな作品です。

映画化では、監督が自らタイに飛んで現地を取材すると同時に、現地の子供たち数百人の公募者の中から、作品に出ることの意味をきちんとわかり、演技として児童虐待や売買春のシーンを撮影することを、監督とコーディネータなど複数の大人から説明し、納得できた子供に出演してもらったという力の入れようです。実際、激しい虐待や性行為のシーンも描かれるために、撮影自体が出演する子供にとってトラウマやPTSDを引き起こす可能性もあり、この点にはカウンセラーも含めて、充分留意したと話していました。

もうひとつ、映画化にあたっては、映画自体の映像が「児童の性画像」の対象にならないかという問題もありました。世界では子供のポルノは所持しているだけで重罪で、日本は規制がゆるいと言いつつも、規制は厳しくなっています。映画は児童虐待の現場を描いたものではあるものの、子供はだかの映像が含まれる以上、児童ポルノと捉えられる可能性はあり、境界線はグレイです。

さらに、タイという国が舞台になることで、国際的な政治問題になる可能性もあります。内容自体は、東南アジア、南米、そしてアフリカや東欧など、世界のあちこちで起こっていることの代表事例として大河選ばれているだけですが、「タイはひどい国だ」というイメージが付いてしまうと、映画自体が批判の対象になります。

そんな数々の困難を乗り越えてつくられたこの映画が、東京では渋谷シネマライズで公開中です。できれば今週見に行こうと思っていますが、今から楽しみ、というか、ドキドキです。興味のある方は、ぜひ世界の真実を見に劇場に足を運んでください。

そうそう、原作を読むのもオススメです。僕は初版の単行本で読みましたが、今は幻冬舎文庫版が出ています。

投稿者 paco 19:01 | コメント (0) | トラックバック (0)

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