2010年06月06日

(by paco)地方分権は、中央官僚からの権限剥奪を意味する

Global Eyes

(by paco)2010年5月に行った<おとなの社会科>07「地域活性化」で、受講者から「道州制」について質問が出ました。

道州制とは、県という行政単位を廃止して、変わって、北海道、東北州、関東州、というように、より広域の行政単位をつくり、そこに今より大きな権限を委譲するという考え方です。

平成に入って国は市町村の合併を進めてきて、合併推進前に3200ほどあった市町村が、今は1700ほどになり、半数近い数に減っています。これに伴ってこれまで1県の中に数10から100を越える市町村があった「県」という単位が、相対的に市町村との「差」が小さくなったことから、役割が半端になると考えられ、これに伴って、ひとまわり大きな「どう」「州」という行政単位に移行して、そこに国の弦弦を委譲しようというのが、道州制です。

道州制は、国の方針になっているものの、まだ具体的にどこまで道州に権限委譲をするかは不明瞭です。しかし、もしこれを本来の理念に沿って本格的にやるとなると、国の持っている権限を大幅に移譲する必要があります。それは具体的に、どのようなものなのでしょうか。

その一例として、徴税権の移譲があります。今は、国税を中心にとって国が各地方に税金を分配する方法を採っていますが、このバランスを大きく変えて、国に対しては、外交と軍事だけの税金徴収として、残りは同州に移譲する方法がドラスティックです。

こうなると、同州単位で、住民の総意によって様々な方法が考えられます。たとえば、ある州は、法人税を大幅に安くして、輸出関連企業を世界から集めるという戦略を採るかも知れません。世界では、アフリカの小国リベリアが、海運業の企業の税金を安くするなど優遇することで、世界の船会社のほとんどがリベリアに集まり、そこから薄く取った税金で国を富ませる、という方法を取っています。

逆に、企業からは税金を多く取り、農業を優遇すれば、積極的な農家が集まってきて、良質の農産物で競争力を保てるかも知れません。自給自足を選ぶ州があってもいいし、映画産業を優遇してもよいのです。

地域でコンセプトと戦略を立て、それを税金レベルから実行できれば、地方の個性が活かせるし、競い合って発展できるというのが、賛成派の主張です。そのようにうまくいくかどうかは別の問題ですが、変革の方向として、ひとつの可能性があります。

民主党は、地方分権の推進を党是としているので、どこまでやる気かはあるにせよ、こういった方向を目指している政党です。これは、前回のコラム「鳩山総理辞任を「官僚の勝利」として読み解く」と同じ文脈で、民主党と官僚の間の権限の争いを孕んでいます。

官僚にとって、税金(予算)を握っていることが権力の源泉です(カネはチカラです)。徴税件を剥奪されれば、財務省は一気に権限が縮小するし、国の徴税が減れば、ほかの省庁も権限が失われます。地方分権とは、中央省庁の官僚から危篤権限を大幅に奪うこと=弱体化させることとイコールなのです。

当然、官僚は既得権限を手放したくないので、抵抗します。ありとあらゆる手段を使って、抵抗する。官僚にとっては、それが自分たちのためになる、と考えている移譲に、実は「それが日本という国のためになり、国民のためになる」と信じてやまないのです。

抵抗する官僚の中には、「自分たちのおいしい権限を奪うな」とだけ考える、腹黒い人たちもいます。しかしそういった人たちはさすがに少数派で、多くは「自分たちが権限を握っていないと、日本は大変なことになる」と、自尊心を持っている。しかしその自尊心が本当に根拠のあるプライドなのか、困ったプライドなのかは、よく見極める必要があります。

もちろん、地方に権限を預ければ、それでその権限がうまく使いこなせる(中央官僚がやるよりうまくやる)という保証はありません。その意味で、官僚のプライドは一定の根拠があります。

しかし、ここで重要なのは、中央か、地方か、どちらがより重い権限を持つかは、今の中央官僚が決めることではない、ということです。こういった重要な意思決定ができるのは、主権者たる国民の意思を反映する人たち、つまり国会議員であり、内閣であるべきで、官僚はその意思を実現するために働くテクノクラート(実務的な実行者)であるべきです。

政治家が官僚をリードして、国民の意思を実現するというしくみが民主主義の考え方なのに、いつの間にか立場が逆転し、政治家の意思を実行しなくて平気な官僚機構になってしまった。これが自民党政治60年の結果です(明治以来、ずっとそうだった考える人もいます)。

民主党のやっていることが正しいと主張するつもりはありません。考えてほしいことは、われわれ国民の考えを実現するために、透明な仕組みをつくり、本来の民主主義の形を作ろうとする人たちが、政治のリーダーシップを取るようにしていく状況を実現することです。

現状の肥大化した官僚組織の問題点を精査し、必要に応じて権限を剥奪し、国民の望む状況をつくるにはどうしたらいいのか。そういう観点で今の政治状況を見ることが重要です。

投稿者 paco 14:11 | コメント (0) | トラックバック (0)

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