2010年11月21日 |
(by paco)プレジデント誌の長坂嘉昭編集長の話を聞いてきた |
Global Eyes |
(by paco) 先週末、金曜日の夜に、プレジデント誌の長坂嘉昭編集長の講演と質疑、と言うミニセッションに参加してきました。
今、雑誌・出版業界は、マーケット全体がシュリンクするという構造不況状態にあります。その中で、プレジデント誌はビジネス誌という狭いマーケットの中で、善戦している媒体ということで、注目を集めています。
ここ10年で雑誌業界は全体で2兆6000億円のマーケットから1兆9000億円へと、30%近くダウンし、サラリーマン向けの週刊誌をはじめ、多くの雑誌が発行部数を減少させ、ひどいところは半減する例もあるというぐらい厳しい状況とのこと。
その中で、プレジデントは、コンセプトを大きく変え、月刊誌から月2回刊行、「ファミリ」「ベビー」と姉妹誌を増やしているということで、脚光を浴びる存在です。そのプレジデント誌も、発行部数では、10年前と比べて2008年頃まで伸びたものの、その後減少、最近は持ち直し傾向と、決して順風満帆ではないものの、チャレンジしないと何も得られない、とという認識を持ている数少ない事例、ということができます。
成功の要因は、編集長の分析に寄れば、「エッジの効いた編集企画」ということで、実際、最近のプレジデント誌の特集を見ても感じられます。
以前は、大企業の管理職以上をターゲットとして、戦国武将や歴史物から学ぶ、決断の瞬間、というのがテーマだったのが、2000年頃から舵を切り、ターゲットは20代後半から30代のビジネスパースン、テーマは彼らの問題箇所の発掘とその解決策の提示、ということで、ビジネスパースンの身近なテーマになりました。僕がプレジデント誌の記事に注目し始めたのもそのころで、実際おもしろい記事が多かった。最近は僕自身のテーマのシフトもあり、ほとんど読まなくなったけれど、一時はかなりよく買っていました。特集の例としては、
「えらくなる男/用済みになる男」
「悩まなくなる練習」
「自分が変わったこの1冊」
などがあります。
さて、今後の展望ですが、やはり電子出版を軸にしたチャレンジ、ということになるようで、すでにiPad向けの電子版を出し始めたとのこと。しかし、僕の見るところ、これはあくまで「入口」という認識で、マーケットと技術的な課題を見るためのパイロットケースとした上で、今後、リソースを活かして、さまざまな展開に出てくると思います。
ひとつ方向としては、編集自身も話していましたが、コンテンツを分解して低価格で販売すること。asahi.comでA-Standというミニで氏本の販売をはじめ、僕もいくつか購入しているのですが、週刊朝日やアエラなどの記事を1本ずつ、200円程度で読めるというもの。買ってみるとすぐに読み終わってしまうので、ちょっと高い印象ですが、手軽さ、読み切り感という意味では、ひとつの方向になると思います。もちろん、スマートフォン対応が条件。ちなみにA-Standでは朝日系の記事だけでなく、他紙の記事も売り始めたので、メディアクロスオーバーのコンテンツショッピングサイトに成長していく計画のようです。
僕がプレジデントやA-Standに期待することは、コンテンツの目利きとして、知恵市場はもちろん田中宇や佐藤優のような、無料で情報を出してきた人のコンテンツを、一定の品質保証をしつつ、販売チャネルと担うという機能で、メディアの編集機能を活かして、目利きの役割を話、知恵市場のようなネット発のコンテンツを電子版として優良販売する機能になります。
実は、これは知恵市場有料版をホスティングしてもらっている@niftyが、本来役割を果たすはずのものが、実際には単なるチャネル貸しに終わってきたものです。今後は、雑誌や新聞社がネット上の深くてクオリティのあるコンテンツを世に送り出し、課金機能を果たす、ということが現実的になるでしょう。知恵市場を初めて、15年近くなりますが、ようやく、無料の時代が終わり、「よいコンテンツに金を払ってもらう」時代の入口が見えてきたような気がしました。
とはいえ、これまで、知恵市場を運営してきて、何度も裏切られてきたので、あまり期待しないで時代の変化を楽しみたいと思います。
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